常連C嬢は「ぎんなん肴に芋ロック」的なシブい女性である。
しかしその夜は「ウイスキーが飲みたい」とのこと。
「あまりクセが無いものを」という注文。
スペイサイドかハイランドのフルーティなものが良いだろう。
そして選んだのがこちら。
GLENMORANGIEは北ハイランドにある蒸留所。
ゲール語で「静寂の峡谷」を意味する。
「ORANGE(オレンジ)」と読めなくもないが、関係無い。
蒸留所はビール工場を改装して作られた。
スコットランドで最も背の高いポットスティル(単式蒸留器)が特徴。
仕込み水は「ターロギ―の泉」の水。
スコッチ造りには軟水が適するのが、この水は硬度190度の硬水。
カルシウム含有量は一般の軟水の10倍。
発酵環境で酵母にプラスに働くらしい。
突出した個性が少なく、バランスが良い。
繊細でデリケート。
フルーティな香りと、微かに紅茶のようなニュアンス。
蜂蜜のような甘みと香りが感じられる。
そしてオレンジを思わせる柑橘系の余韻。
どれもじっくりと探しながら飲んで、ようやく感じられるような微かな風味。
さらっと飲んでしまうと気付けないだろう。
シングルモルトは、ゆっくりと時間をかけて味わいたい。
五感をフル稼働させて繊細な味わいを感じ取って頂きたいのだ。
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