近年、多くのものが機械やAIに置き換えられている。
自動化、省力化が進んで、確かに便利になった。
その反面、人のふれあいや温もりが失われていないだろうか?
培った技術や文化や伝統が、廃れつつあるのではないか?
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造るのは、長野市川中島町にある「酒千蔵野(しゅせん くらの)」
創業は1540年。長野県で最古の蔵元だ。
杜氏は蔵元の一人娘、千野麻里子氏。
目指すのは「心の酒造り」
どんなに世の中が便利で効率的になっても、
心の底からうまい酒が、簡単に効率的にできるわけがない、と語る。
醸造とは自然の営みであり、簡単に機械に置き換えられるものではない。
そしてその技術は世界に誇れる日本の文化だ。
酒千蔵野は、時間をかけて心で醸す、心で感じる酒にこだわっている。
応援したいと感じる蔵の姿だ。
今回は、精米59%の特別純米酒。
冷で口に含む。
第一印象は、とても甘くてジューシーな果実。
その後、驚くほど軽やかに変化する。
透明感があって清らかな清流のようだ。
立ち香は穏やかだが、後から米の芳醇な香りが追いかけてきて、その余韻が残る。
軽く温める。
米の香りが立って、ジューシーさが増す。
その印象とは裏腹に、冷よりは味が膨らむが、やはりふわっと軽い。
何の抵抗感もなく、スッと体に入ってくるようだ。
自然と一体になる。
自然とともに生きる。
自然の恵みに感謝する。
それが人間の本来あるべき姿。
今の時代、人はもっと謙虚に、もっと慎ましく生きるべきではないか?
大自然の中にあって人はちっぽけな存在であることを、今一度認識すべきではないか?
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