1月後半。
いつもの散歩道では多くの草木が枯れている。
しかし全てが朽ちているのではない。
来るべき春に備えて内部に力を溜めているのだ。
冬の草木からはそんな内なるエネルギーがひしひしと感じられる。
創業は1892年。
1980年に発売した「桜花吟醸酒」が吟醸ブームの火付け役に。
今では「吟醸酒と言えば出羽桜」のイメージが定着している。
今回の一本は…
「雄町米」を50%精白した純米吟醸酒。
雄町は山田錦、五百万石など、多くの酒造米にその血統が受け継がれている。
雄町は背が高く倒れやすいうえ、病気にも弱いとあって栽培が難しい。
一時は生産量が減少したが、近年は岡山県を中心に作付けが増えつつある。
山田錦や五百万石には無い、重厚な力強さが魅力だ。
香りは穏やか。
微かな吟香。
ジューシーでふくらみのあるボディ。
最初は甘めに感じるが、苦みがアクセントになり、すっきりする。
全体に落ち着きや力強さを感じる酒だ。
雄町米の所以か。
ぬる燗で。
なめらかさ、まろやかさが増す。
苦みが薄れ、優しくスムーズな口当たり。
熱燗で。
軽くなって、一段とすっきり。
じんわりと身体に染み込む。
この季節は燗が嬉しい。
・・・・・
力を蓄える。
人間にもそんな時間が必要である。
私にとっては今がそのとき。
いつかもうひと花、咲かせてみたいものだ。
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