今回は「Martini」の原型のカクテル。
昨今のMartiniの処方は…
Gin + Dry Vermouth
その原型「Gin & It」の処方は…
Gin + Sweet Vermouth ( 1 : 1 )
Gin&It の「It」は Sweet Vermouth。
つまり「イタリア生まれのVermouth」の「イタリアン」から来ている。
そしてこのカクテルは、シェークとかステアなどで仕上げるのではない。
直接グラスにお酒を注ぐのだ。
冷凍の技術が発達した今でこそ「氷」は簡単に手に入る。
しかし昔はそう簡単にはいかず、当然シェークなども出来ない。
そんな事情から「そのまま混ぜ合わせる」という処方になったのではないか。
これが「Martiniの原型」
その後、嗜好は甘口から辛口へ。
「Gin & It」から、Dry Vermouth を使う、辛口のMartiniに変化していく。
試作してみる。
素材は冷やしておいた。
そのままグラスに注いで出来上がり。
今の感覚でカクテルと言えるか?
色は美しい赤褐色で、マンハッタンを彷彿させる。
アルコール度数は28度くらい。
味は、きわめて甘い。
Vermouthに大きく引っ張られる。
そして温度が上昇すると、甘みをさらに強く感じ、酒質も重く感じる。
アルコールも強く、けっして飲みやすいカクテルではない。
シェークやステアでキリッと冷やしたら、もっと美味しいに違いない。
そう思いつつも…
昔の人々に飲まれていたカクテル。
その時代に思いを馳せながら…。
・・・・・
Martiniにまつわる話はキリがない。
レシピでけだも数百種類あるとも言われ、アレンジメニューも数限りない。
シンプル故の奥深さ。
まさにカクテルの王様である。
|