バーボン好きの常連T氏(28歳男子)
バーボン・ファンを広めようと、布教活動に励んでいる。
今夜も常連のS嬢(30歳女子)を捕まえて布教活動中。
「バーボンを飲んで見れば!」
「甘くて美味しいよ」
そのS嬢は、ロングカクテルをせいぜい2杯飲む程度。
そんな彼女に
「ストレートで飲むと美味しいよ」
…いやいや、ストレートは無理だ。
女子に布教するなら、水割りか炭酸割り、なんならジンジャー割りくらいにしとけよ。
と思うのだが…。
自分でストレートを注文して、S嬢に味を見てもらう。
「きゃ~。味なんて分かんない。アルコールしか感じない。無理無理無理!」
ほら~。
言わんこっちゃない。
布教どころかウイスキー嫌いの女子ができちゃったんじゃないの?
そら、ストレートは無理だって!
ウイスキーファンを増やしたい。
気持ちは分かるし、私も同じ。
ただ、順序ってものがある。
そんな彼が最近好んで飲んでいるバーボンがこちら。
造るのはウィレット蒸留所から、社名が変更された、
「ケンタッキー・バーボン・ディスティラーズ」
ノアーズ・ミルなど、評価の高いバーボンを造る小規模蒸留所。
貯蔵してある樽から選んだ原酒をベースに、6~12年熟成酒をブレンド。
アルコール度数45%。
香ばしくて乾いた香り。
ちょっと独特の香りがある。
フレッシュなリンゴ?
爽やかさを感じる香りだ。
口に含むと…
最初に甘みを感じるが、舌の上で転がしていると、独特の酸味を感じてくる。
バーボン特有の荒い香味は無し。
甘酸っぱい葡萄か?リンゴか?
穀物の含み香が鼻に抜ける。
最初にピリッと来るが、アフターの余韻は穏やかに続く。
バーボンにしては繊細で複雑な香味。
じっくり時間をかけて味わいたい。
・・・・・
さて、ウイスキーファンは増えるか?
今はそれを信じて、少しづつメニューを増やして行く。
デッド・ストックにならないことを祈りながら…。
そうなったら…
頼むよ、Tさん(笑)
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